震災、原発事故、子供の死、義理の家族との軋轢‥。
抗いようのない形で人生が進んでゆく4人の30代の男女。
四者四様の思いが絡まり合い、人生の葛藤が鮮やかに描かれる。
4人の登場人物のそれぞれのお話です。
根底に流れるのは2011年の震災後の原発事故。
設定は幼い子どもがいる、夫の赴任先の海外で生活している…など。
原発の放射能汚染に対する危機感、
その危機感のズレ…。
自分や家族が心地よく暮らすには…と、
生き方を模索する主人公が描かれている。
一番面白かったのは原発とは関わりがない4人目の女性のお話。
素直そうな主婦を装う一方で、内面の激しさ。
そのギャップがすごい!
リアルに「ある!ある!」
細かい心理描写に引き込まれ、サラッと軽く読めて面白かった。
タイトルの「持たざる者」とはなんだろう?
その反対に「持てる者」とは?…と考える。